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2011年9月24日 (土)

「琉球処分」

大城立裕 著 講談社文庫

 以前から明治初期の琉球処分について、よく知りたいと思っていたら、ネットでこの文庫を見つけた。帯には、総理大臣当時の菅首相のコメントも引用されている。また佐藤優が解説をしているというので、大いに期待して購入した。

 大いに期待はずれだった。面白くないので、読書を途中で中断したこともあり、読み始めてから読了するまで4ヶ月ほどかかった。

どんなところが面白くなかったか。

①登場人物がまったく印象に残らない。

 この小説には特定の主人公はいなくて、群像劇のように書かれている。群像劇でも主要な登場人物が決められてもよさそうだが、全員が目立たない脇役といった感じ。登場人物が30人いるとしたら、全員が30分の1で描かれている。出ては引っ込み、出ては引っ込みで、印象に残る人物が1人もいない。士族の娘だが、生活の苦しさから売春宿に売られた娘が出てくるが、特に大きな展開もなく、一向宗に帰依して、いつの間にかフェイドアウトした。

②清国側からの視点がない。

 筆者は、芥川賞もとって、沖縄を代表する文化人。琉球処分における清国側の視点も知りたかったが、清国の登場人物はなし。空振りに終わった。筆者は、戦前に上海の東亜同文書院大学で学んでいるので、知識も豊富であると思ったが、期待はずれ。

③歴史をもっと知りたい

 司馬遼太郎とまではいかないにしても、当時の歴史的な背景ももっと知りたかった。琉球王国の歴史、文化にしても小説の中でもっと触れるべきであったろうと思う。特に台湾出兵については、琉球処分のきっかけとなっただけにもっと触れて欲しかったが、不満だけが残った。

④物語がつまらない。

 この小説は「起承転結」ではなく、「起承承承」で作られている。盛り上がるポイントが何一つない。日本政府の通達等に対し、琉球側が右往左往している様子が、だらだらと続くばかりである。小説なのだから作家の想像力を期待したのだが、いったい何を表現した買ったのかわからない。

 この小説は、1972年に出版されたものを講談社が再販したものだ。

          「琉球処分」

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